次世代エクストラクションシューターとしてマラソンは成功するか

5月下旬、EAは大規模な人員削減を実施し、Respawn Entertainmentを含む約300名を解雇した。元コールオブデューティ開発者らが設立したこのスタジオは現在、Apex Legendsとスター・ウォーズ ジェダイシリーズを手掛けている。関係者によれば、同スタジオは再編前にタイタンフォールをベースにしたエキストラクションシューターの開発を進めていたが、プロジェクトは中止に追い込まれたという。業界アナリストは、このゲームがPvPvEというニッチジャンルをメインストリームに押し上げる可能性があったと指摘している。
業界の変革と開発優先事項
EA広報は今回のレイオフについて「将来の成長に向けたチーム再編とリソース配分」の一環だと説明した。これはコーデマスターズやバイオウェアを含むEA全体のリストラの延長線上にあり、昨年3月には社員670名が影響を受けた。ゲーム業界の不安定さから労働組合化を求める声が高まっている。
幻のタイタンフォールプロジェクト
噂されていたタイタンフォールのエキストラクションシューター開発中止は、シリーズ新作を待ち望んでいたファンに衝撃を与えた。未確認情報ながら、業界関係者はこの作品がEscape from Tarkovのようなハードコアタイトルが支配する当ジャンルに革新をもたらす可能性があったと語る。こうした議論自体が、ジャンルの潜在的可能性に再び注目を集める結果となった。
マラソン:バンジーの大勝負
先月発表されたバンジー社の新作エキストラクションシューター『Marathon』は、現在最も注目されるジャンル拡大の候補だ。アセット剽窃疑惑が浮上しているものの、プレビューではHaloやDestinyで培ったバンジーの技術力が感じられる確かなゲームプレイが確認されている。しかし9月の発売を控え、確立されたフランチャイズが支配する市場での突破口を見いだせるかが課題だ。
Circanaのゲーム業界アナリスト、マット・ピスカテラ氏は「これまでエキストラクションシューターはマスマーケットに浸透していない熱狂的なファン向けジャンルだ」と指摘する。
エキストラクションシューターとは
このジャンルでは通常、PvPとPvE要素が融合し、AIや敵プレイヤーと対峙しながら目的を達成し、集めた資源を持ち帰る(エキストラクト)ことが基本となる。パンデミック期にはTarkovの過酷な設計が熱烈な支持を集め、最近ではHelldivers 2の成功(4月時点でSteam8位、PlayStation34位)が協力プレイに焦点を当てたアプローチの可能性を示した。
市場の課題と業界動向
有望作があるとはいえ、エキストラクションシューターは依然ニッチジャンルだ。Helldivers 2でさえ米国Steamユーザーの9%しか獲得できず、他のタイトルは平均2.3%以下のプレイヤーエンゲージメントにとどまる。バトルロイヤル巨大タイトルとの比較で見劣りするため、出版社が積極投資を躊躇するのも無理はない。
ピスカテラ氏は歴史的類例を挙げる:「音楽ゲームはギターヒーローまでニッチだったし、コンソールFPSの売上はHalo登場まで控えめだった。Marathonがエキストラクションシューターの突破口になるかもしれない」
今後の展望
成功の鍵は、コアFPSプレイヤーを取り込むためのアクセシビリティと強いコミュニティ支援の維持にある。「Marathonは『簡単に始められ、習熟には時間がかかる』というバランスを実現する必要がある」とピスカテラ氏は指摘し、現代市場では無料プレイ可能な慣れ親しんだコンセプトが未検証のアイデアより評価されると付け加えた。
業界の注目を集める中、バンジーの挑戦がエキストラクションシューターの運命を決める。ニッチな存在のままで終わるか、ついに主流ジャンルとして突破するか――9月の発売がゲーム業界の地図を塗り替える可能性を秘めている。



